第三種冷凍機械責任者/保安管理技術
冷凍用圧縮機の種類・構造・容量制御
往復・ロータリー・スクロール・スクリュー・遠心式の違い、開放形と密閉形、ピストン押しのけ量と体積効率、容量制御とオイルフォーミングを、例題つきでまとめます。
冷凍用の圧縮機にはどんな種類がある?
冷凍用の圧縮機は、閉じ込めた蒸気の体積を小さくして圧力を上げる容積式と、羽根車で蒸気に速度を与えてから圧力に変える遠心式に分かれます。第三種の範囲では、容積式の4方式と遠心式の特徴を区別できれば足ります。
往復式はシリンダの中でピストンを往復させ、吸込み弁と吐出し弁で流れを切り替えます。ロータリー式はローリングピストンやベーンの回転で、スクロール式は固定スクロールと旋回スクロールの組合せで圧縮し、どちらも小型の空調機器に多く使われます。スクリュー式は、かみ合う雄ロータと雌ロータの溝の空間を小さくしていく方式で、往復式のような吸込み弁・吐出し弁を持ちません。遠心式は大容量の冷凍機に向いています。
| 往復式(容積式) | ピストンの往復。吸込み弁と吐出し弁がある |
|---|---|
| ロータリー式(容積式) | ローリングピストンやベーンの回転。小型向き |
| スクロール式(容積式) | 固定スクロールと旋回スクロールの組合せ。小型向き |
| スクリュー式(容積式) | 雄ロータと雌ロータのかみ合い。吸込み弁・吐出し弁がない |
| 遠心式 | 羽根車で速度を与え、圧力に変える。大容量向き |
開放形と密閉形は何が違う?
開放形は、圧縮機と電動機が別々で、軸が圧縮機のケーシングを貫いてベルトや継手で動力を受けます。軸の貫通部から冷媒が漏れないように、軸封装置(シャフトシール)が必要です。
密閉形は、圧縮機と電動機を1つの容器に収めたもので、軸封装置がありません。容器を溶接で閉じた全密閉形は現場で分解できず、ボルトで締めた半密閉形は分解して修理できます。密閉形では電動機を吸込み蒸気で冷やすものが多く、電動機の発熱も冷媒が受け取ることになります。
開放形は電動機を取り替えやすく、ベルト駆動なら滑車の組合せで回転速度を変えられますが、軸封装置の点検と交換が欠かせません。密閉形は漏れの出どころが少ない反面、電動機の巻線が焼損すると冷媒や油が汚れ、装置全体の洗浄が必要になることがあります。
ピストン押しのけ量と体積効率はどう計算する?
ピストン押しのけ量は、ピストンが単位時間に押しのける体積で、気筒の断面積×行程×気筒数×回転速度で求めます。圧縮機の寸法と回転速度だけで決まり、蒸発温度などの運転条件では変わりません。
実際に吸い込める蒸気の量は、押しのけ量に体積効率を掛けた値です。冷媒循環量は、それを吸込み蒸気の比体積で割って求めます。蒸発温度が下がると比体積が大きくなり、体積効率も下がるので、同じ圧縮機でも冷媒循環量と冷凍能力は小さくなります。法令の冷凍能力の算定式R=V÷Cでも、このピストン押しのけ量Vを使います。
例題:ピストン押しのけ量から冷媒循環量を求める
内径60mm、行程50mmの気筒が4つある往復圧縮機を、毎分1,500回転で運転する。体積効率0.70、吸込み蒸気の比体積0.080m³/kg、冷凍効果160kJ/kgとする(数値は説明用に作ったもの)。
- ① 気筒1つの行程体積 3.1416÷4×0.060²×0.050≒0.0001414m³
- ② ピストン押しのけ量(1時間) 0.0001414×4×1,500×60≒50.9m³/h
- ③ 実際の吸込み蒸気量 50.9×0.70≒35.6m³/h
- ④ 冷媒循環量 35.6÷0.080≒445kg/h≒0.124kg/s
- ⑤ 冷凍能力 0.124×160≒19.8kW 約5.1日本冷凍トン
答え:ピストン押しのけ量約50.9m³/h、冷媒循環量約0.124kg/s、冷凍能力約19.8kW
よくある間違い:内径と行程をmmのまま計算すると桁が大きく狂う。先にmに直す。回転速度は毎分なので、1時間にするには60を掛ける。
容量制御はどうやって行う?
冷凍負荷は季節や時間で変わるので、圧縮機は負荷に合わせて能力を落とす仕組みを持っています。発停を繰り返すより、容量を変えて運転を続けるほうが、温度の変動も電動機への負担も小さくなります。
多気筒の往復圧縮機では、アンローダで一部の気筒の吸込み弁を開いたままにして、その気筒を圧縮させないようにします。スクリュー圧縮機はスライド弁で圧縮に使うロータの長さを変える方式が代表的で、遠心式は吸込み口のベーンの開度で調節します。インバータで電動機の回転速度を変える方法は多くの方式に使え、押しのけ量が回転速度にほぼ比例して変わります。
小型の装置では、サーモスタットや低圧圧力スイッチで圧縮機を止めたり動かしたりする発停制御がよく使われます。発停の回数が多すぎると電動機や接点が傷むので、設定の幅を狭くしすぎないようにします。
吐出しガス温度と油の状態はなぜ見張る?
吐出しガス温度は、圧縮比が大きいほど、吸込み蒸気の過熱度が大きいほど高くなります。高すぎると冷凍機油が劣化・炭化し、弁の周りに付着して故障の原因になります。
フルオロカーボンの装置では、停止中に冷媒が冷凍機油に溶け込みます。起動して圧力が急に下がると、溶けていた冷媒が一気に蒸発して油が泡立ち(オイルフォーミング)、油が足りなくなって潤滑不良を起こすことがあります。クランクケースヒータで停止中の油を温め、溶け込む冷媒を減らして防ぎます。
蒸発しきれない冷媒液を吸い込む液戻りが起きると、液はほとんど圧縮できないので、弁やピストンを壊すおそれがあります。吐出しガス温度が急に下がったら液戻りを疑うのが、運転中の見方の基本です。
職場ではどう使う?
スーパーの冷凍ショーケースを受け持つ設備担当者は、インバータ付きのスクロール圧縮機と、古い多気筒の往復圧縮機が同じ店に混在している場面に出会います。往復式ではアンローダが働くときの電流の段階的な変化で容量制御を確かめ、インバータ機では運転周波数の表示で負荷を読みます。
開放形のアンモニア圧縮機では、軸封部からの油のにじみと臭いを毎日の巡回で確かめます。軸封装置の漏れを放っておくと、冷媒の漏えいだけでなく、吸込み側の圧力が大気圧より下がったときに空気を吸い込む原因にもなります。
試験ではどう問われる?
圧縮機の問題は、方式の分類と構造の特徴を入れ替えた誤りが多い分野です。遠心式を容積式とする、スクリュー式に吸込み弁・吐出し弁があるとする、半密閉形は分解できないとする、といった型があります。
ピストン押しのけ量が運転条件で変わるとする記述や、蒸発圧力が下がると冷媒循環量が増えるとする記述も、関係の向きを逆にした典型です。オイルフォーミングとクランクケースヒータの目的、液戻りのときの吐出しガス温度の変化も、対にして押さえておきます。
よくある質問
スクロール圧縮機とスクリュー圧縮機はどう違う?
スクロール式は、渦巻き形の固定スクロールと旋回スクロールを組み合わせて圧縮し、小型の空調機器に多く使われます。スクリュー式は、雄ロータと雌ロータのかみ合いで圧縮し、比較的大きな冷凍装置に使われます。どちらも容積式です。
ピストン押しのけ量と冷凍能力はどう関係する?
押しのけ量に体積効率を掛けると実際の吸込み体積になり、それを比体積で割ると冷媒循環量、冷凍効果を掛けると冷凍能力になります。押しのけ量が同じでも、蒸発温度が低いと冷凍能力は小さくなります。
オイルフォーミングはなぜ起こる?
停止中に冷凍機油に溶け込んだフルオロカーボン冷媒が、起動で圧力が下がったときに一気に蒸発して油を泡立たせるためです。クランクケースヒータで停止中の油を温めておくと防げます。
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は高圧ガス保安協会の公式情報で確認してください。