第三種冷凍機械責任者/保安管理技術
冷凍装置の運転と保守管理
起動・停止とポンプダウン、正常運転の見方、冷媒不足・過充塡・不凝縮ガス・液戻り・水分混入の症状と原因、冷媒の充塡と油の管理をまとめます。
運転を始める前と止めるときは何を確かめる?
起動前には、弁の開閉、電源の電圧、圧縮機の油面、冷却水や冷却風の状態を確かめます。水冷凝縮器の装置では、冷却水ポンプを先に動かして冷却水を流してから圧縮機を起動します。冷却水が流れないまま圧縮機を動かすと、凝縮圧力が一気に上がるからです。
止めるときは、膨張弁の手前の液の弁を閉じて低圧側の冷媒を受液器側へ送り(ポンプダウン)、吸込み圧力が下がってから圧縮機を止め、そのあとで冷却水を止めます。液の弁を閉める位置によっては液封が起こるので、閉める順番を守ります。
長く止める場合は、低圧側の圧力を大気圧より少し高く保って空気が入らないようにし、冬季には凝縮器や配管の冷却水を抜いて凍結による破損を防ぎます。
正常な運転はどんな数字で判断する?
運転の良し悪しは、吸込み圧力と吐出し圧力、吐出しガス温度、蒸発器出口の過熱度、凝縮器出口の過冷却度、電動機の電流の組合せで判断します。どれか1つだけでは原因を絞れないので、毎日同じ時刻に記録して、ふだんの値からのずれを見ます。
吸込み圧力は蒸発温度を、吐出し圧力は凝縮温度を表します。冷却水温度が上がれば凝縮圧力と軸動力が上がり、冷凍負荷が増えれば蒸発圧力が上がります。吸込み圧力が下がると、圧縮比が大きくなって体積効率が下がり、冷凍能力が落ちます。
例題:凝縮器出口の過冷却度を求める
吐出し圧力を冷媒の飽和温度に換算すると40℃、凝縮器出口の液管の温度が35℃だった(数値は説明用に作ったもの)。
- ① 過冷却度の定義 過冷却度=凝縮圧力に対する飽和温度−凝縮器出口の液温
- ② 計算 40−35=5K
答え:過冷却度は5K
よくある間違い:過冷却度が小さいと、液管でフラッシュガスが出やすくなる。過冷却度の変化は、冷媒量や凝縮器の状態を見る手がかりの1つになる。
冷媒が足りないとき、多すぎるときはどうなる?
冷媒が足りないと、蒸発器に送られる液が減って、蒸発器の出口側が過熱蒸気ばかりになります。過熱度が大きくなり、吸込み圧力が下がり、吐出しガス温度が上がって、冷凍能力が落ちます。液管のサイトグラスに気泡が見えることもあります。
冷媒が多すぎると、凝縮器の中に液がたまって凝縮に使える伝熱面積が減り、凝縮圧力が上がります。圧縮機の動力が増え、成績係数が下がります。症状が似た異常もあるので、下の組合せで区別します。
| 冷媒不足 | 吸込み圧力が下がる、過熱度が大きくなる、吐出しガス温度が上がる、サイトグラスに気泡 |
|---|---|
| 冷媒の過充塡 | 凝縮器に液がたまり、凝縮圧力が上がる |
| 不凝縮ガスの混入 | 凝縮圧力と吐出しガス温度が上がる |
| 液戻り | 過熱度がなくなり、吸込み管に霜が付き、吐出しガス温度が下がる |
不凝縮ガスはどう見分ける?
不凝縮ガスは、冷媒として凝縮しない空気などのガスです。真空引きが不十分だったときや、低圧側が大気圧より低くなって空気を吸い込んだときに入り、凝縮器の上部にたまって凝縮圧力と吐出しガス温度を上げます。
見分けるには、圧縮機を止めて冷却水だけを流し、凝縮器の中の冷媒を冷却水温度に近づけます。凝縮器の圧力が、冷却水温度に対する冷媒の飽和圧力より明らかに高ければ、その差が不凝縮ガスの分圧で、不凝縮ガスがあると考えます。フルオロカーボンの装置で不凝縮ガスを抜くときは、冷媒を大気に放出しないように回収の方法をとります。
抜いたあとは、なぜ空気が入ったのかを調べます。低圧側が大気圧より下がる運転が続いていないか、据付け時の真空引きの記録が残っているかを確かめ、同じことが起きないようにします。
液戻りはなぜ起こり、どんなサインが出る?
液戻りは、蒸発器で蒸発しきれなかった冷媒液が圧縮機に吸い込まれる現象です。膨張弁の開きすぎ、感温筒の外れ、蒸発器の負荷の急な減少、着霜による伝熱の悪化などで起こります。
液戻りが起きると、吸込み管や圧縮機に霜が厚く付き、吐出しガス温度が下がります。液を圧縮すると弁や部品を壊すおそれがあり、油が冷媒で薄まって潤滑も悪くなります。
液戻りに気づいたら、膨張弁の過熱度の設定と感温筒の取付け状態を確かめ、蒸発器の霜の付き方や送風機が止まっていないかも見ます。液分離器を付けた装置でも、分離できる量を超える液が戻れば圧縮機まで届きます。
水分や油の汚れはどう管理する?
フルオロカーボンの装置に入った水分は、膨張弁で凍って冷媒の流れを止めたり、酸を生じて金属を腐食させたり、冷凍機油を劣化させたりします。アンモニアは水とよく溶け合うので膨張弁で凍ることはほとんどありませんが、水分が多くなると装置の性能が落ちます。どちらの装置でも、冷媒を充塡する前に真空乾燥で水分を除いておきます。
冷凍機油は、汚れや変色、水分の混入が見られたら交換します。冷媒を追加するときは装置に指定された冷媒を使い、別の冷媒を混ぜません。非共沸混合冷媒は液の状態で充塡します。
職場ではどう使う?
冷凍倉庫の保守担当者の日誌には、吸込み圧力、吐出し圧力、吐出しガス温度、電流値、庫内温度が並びます。ある朝、吸込み圧力が前日より下がり、吐出しガス温度が上がっていたら、冷媒の漏れを疑い、配管の継手に漏えい検知器を当てて回ります。
年末年始の長期休業の前にはポンプダウンをして、低圧側の圧力を確かめてから圧縮機を止めます。冬季に止める水冷式の装置では、凝縮器と冷却塔の水抜きを、休業前の作業表に入れておきます。
試験ではどう問われる?
運転の問題は、症状の組合せを1か所だけ逆にした記述が中心です。冷媒不足で凝縮圧力が上がるとする、液戻りで吐出しガス温度が上がるとする、不凝縮ガスで吐出しガス温度が変わらないとする、といった型があります。
起動・停止の順序(冷却水と圧縮機のどちらが先か)、ポンプダウンの目的、水分の影響がアンモニアとフルオロカーボンで違う点も、入れ替えの対象になります。症状を暗記するより、圧力・温度・過熱度がなぜその向きに動くかをサイクルの図で説明できるようにしておくと、初めて見る組合せでも判断できます。
よくある質問
冷媒が不足すると吐出しガス温度が上がるのはなぜ?
蒸発器を出る蒸気の過熱度が大きくなり、温度の高い蒸気を吸い込むからです。吸込み圧力も下がって圧縮比が大きくなるので、吐出しガス温度はさらに上がります。
ポンプダウンは何のためにする?
低圧側の冷媒を受液器などに集めて、停止中の低圧側からの冷媒の漏れや、次の起動時の液戻りを防ぐためです。修理のときに低圧側を開放する前にも行います。
不凝縮ガスがあるかどうかはどう確かめる?
圧縮機を止めて冷却水だけを流し、凝縮器の圧力と、冷却水温度に対する冷媒の飽和圧力を比べます。凝縮器の圧力のほうが明らかに高ければ、不凝縮ガスがあると考えます。
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は高圧ガス保安協会の公式情報で確認してください。