第三種冷凍機械責任者/保安管理技術
自動制御機器・附属機器・冷媒配管
温度自動膨張弁のしくみと感温筒・外部均圧、圧力調整弁や圧力スイッチ、受液器・油分離器・液分離器・ドライヤの取付け位置、冷媒配管の勾配とトラップ、フラッシュガスをまとめます。
温度自動膨張弁は何を見て開き具合を決める?
温度自動膨張弁は、蒸発器出口の冷媒蒸気の過熱度がほぼ一定になるように、弁の開度を変えて冷媒の流量を調節します。過熱度が大きくなれば開き、小さくなれば閉じる方向に動きます。
弁の上部にはダイアフラムがあり、その上側には感温筒の中のガスの圧力が、下側には蒸発器の圧力とばねの力がかかります。感温筒は蒸発器出口の吸込み管に密着させてあり、出口の蒸気の温度が上がると筒の中の圧力が上がって弁を押し開きます。負荷が増えて冷媒が早く蒸発しきると過熱度が大きくなり、弁が開いて冷媒を多く送ります。
感温筒の中のガスが漏れると、弁を開く力がなくなって弁は閉じ、冷媒が流れなくなります。逆に感温筒が吸込み管から外れると、周囲の温かい空気の温度を感じて弁が開きすぎ、液戻りを起こすおそれがあります。
例題:蒸発器出口の過熱度を求める
蒸発器出口の圧力を冷媒の飽和温度に換算すると−10℃、感温筒を付けた位置の吸込み管の表面温度が−4℃だった(数値は説明用に作ったもの)。
- ① 過熱度の定義 過熱度=出口の蒸気温度−蒸発圧力に対する飽和温度
- ② 計算 −4−(−10)=6K
答え:過熱度は6K
よくある間違い:圧力を飽和温度に直すときは、飽和表の圧力がゲージ圧力か絶対圧力かを確かめる。取り違えると飽和温度が大きくずれる。
内部均圧形と外部均圧形はどう使い分ける?
内部均圧形は、ダイアフラムの下に弁の出口(蒸発器入口)の圧力を導く形です。蒸発器の中で冷媒の圧力が大きく下がる場合に入口の圧力で制御すると、実際の過熱度が大きくなりすぎ、蒸発器の出口側が十分に使えなくなります。
ディストリビュータを使う蒸発器のように圧力降下の大きいものには、外部均圧形を使います。外部均圧管は、感温筒を付けた位置より圧縮機側の吸込み管から取り出し、蒸発器出口の圧力を弁に伝えます。
感温筒は、液や油がたまりやすいトラップの部分を避け、吸込み管に密着させて取り付けます。管の太さによって、管の上部や横側に付けるなどの取付け方があります。
膨張弁のほかにどんな制御機器がある?
冷凍装置には、圧力を一定に保つ弁、流れを止める弁、異常を検知して圧縮機を止めるスイッチがあります。名前が似ているので、どこに付けて何を守るのかで区別します。
キャピラリチューブは細い管の流れ抵抗で絞り膨張させるもので、過熱度を調節する働きはなく、小型の装置に使われます。定圧自動膨張弁は蒸発圧力をほぼ一定に保ち、電子膨張弁は温度センサなどの信号をもとに電気的に開度を調節します。温度自動膨張弁の容量が負荷に比べて大きすぎると、弁が開閉を繰り返すハンチングを起こしやすくなります。
| 蒸発圧力調整弁 | 蒸発器の出口に付け、蒸発圧力が設定値より下がらないようにする |
|---|---|
| 吸入圧力調整弁 | 圧縮機の吸込み圧力が設定値より上がらないようにし、電動機の過負荷を防ぐ |
| 凝縮圧力調整弁 | 冬季などに空冷凝縮器の凝縮圧力が下がりすぎないようにする |
| 電磁弁 | 電気信号で開閉する。流れの向きに合わせて取り付ける |
| 高圧圧力スイッチ・低圧圧力スイッチ | 吐出し圧力の異常な上昇、吸込み圧力の低下で圧縮機を止める |
| 断水リレー・油圧保護圧力スイッチ | 冷却水の断水、起動後に油圧が上がらないときに圧縮機を止める |
附属機器は系統のどこに付ける?
附属機器は、高圧側と低圧側のどちらの、どの管に付けるかで働きが決まります。系統図の上で場所を覚えるのが近道です。
高圧受液器は凝縮器の出口にあり、凝縮した液をためて、運転状態が変わったときの液量の変化を吸収します。修理のときに冷媒を回収しておく場所にもなります。油分離器は圧縮機の吐出し管に付けて、吐出しガスに混じった油を分けます。フルオロカーボンの装置では分けた油を圧縮機に自動で戻すことが多く、アンモニアの装置では油だめにためて抜き取ります。油分離器を付けても、油を完全に取り除くことはできません。
液分離器は蒸発器と圧縮機の間の吸込み管に付けて、蒸気に混じった液を分けて液戻りを防ぎます。フィルタドライヤとサイトグラスはフルオロカーボンの装置の液管に付け、ドライヤは水分とごみを取り、サイトグラスは冷媒の流れを目で確かめるためのものです。液ガス熱交換器は液管の液と吸込み蒸気の間で熱を交換し、液を過冷却して吸込み蒸気を過熱します。吸込み蒸気の過熱度が大きくなるぶん吐出しガス温度は上がるので、吐出しガス温度が高くなりやすい装置には向きません。
冷媒配管の勾配とトラップはなぜ必要?
冷媒配管は、冷媒を流すだけでなく、冷媒と一緒に回る冷凍機油を圧縮機へ戻す通り道でもあります。勾配とトラップは、その油と液の動きを決めるためのものです。
横走りの吸込み管は、油が圧縮機に戻るように圧縮機に向かって下り勾配にします。吸込み管の立ち上がりでは、蒸気の流速が小さいと油を持ち上げられないので、管径を細めにして流速を確保し、立ち上がりが長いときは途中にトラップを設けます。管を太くしすぎると、圧力損失は減っても油が戻りにくくなります。
吐出し管は、圧縮機が止まっている間に、凝縮器側で冷えて液になった冷媒や油が圧縮機へ逆流しないように施工します。横走り管は凝縮器に向かって下り勾配にし、立ち上がりが高いときは圧縮機の近くにトラップを設けることがあります。
液管でフラッシュガスが出ると何が困る?
液管の中で液の一部が気化したものをフラッシュガスといいます。液管の圧力損失が大きいとき、液管が高く立ち上がって上部の圧力が下がったとき、液管が周りから温められたときに出ます。
フラッシュガスが出ると、膨張弁を通る冷媒液が減って冷凍能力が下がり、膨張弁の制御も不安定になります。過冷却度を大きくとっておくと、フラッシュガスを防ぎやすくなります。
配管の材料は冷媒に合わせて選び、アンモニアには銅や銅合金の管を使いません。低温の吸込み管には、熱の侵入と表面の結露を防ぐために防熱を施します。冷媒液で満たされた配管の両端の弁を閉じたままにすると、温度が上がったときの液の膨張で異常な高圧になる液封が起こるので、弁を閉める順番に気をつけます。
職場ではどう使う?
冷凍倉庫の保守では、膨張弁の過熱度を季節の変わり目に確かめます。感温筒の取付けバンドが緩んで筒が浮いていると、弁が開きすぎて吸込み管の霜が圧縮機のほうへ伸びてくるので、霜の位置の変化が点検の目安になります。
配管の改修工事では、吸込み管の勾配が逆になっていないか、立ち上がりのトラップが省かれていないかを図面と現物で照らし合わせます。油が戻らない装置は、圧縮機の油面計の油面が少しずつ下がっていくことで気づけます。
試験ではどう問われる?
この範囲は3問前後出ることが多く、機器の名前と働きの組合せを入れ替えた誤りが中心です。蒸発圧力調整弁と吸入圧力調整弁の働きの入れ替え、油分離器と液分離器の取付け位置の入れ替え、ドライヤをアンモニアの装置に付けるとする記述が典型です。
温度自動膨張弁では、感温筒のガスが漏れたときと外れたときの弁の動きを逆にした記述や、外部均圧管の取出し位置を問う記述がよく作られます。配管では、吸込み管の勾配の向き、立ち上がり管の流速、フラッシュガスが出る条件を押さえます。
よくある質問
温度自動膨張弁の感温筒のガスが漏れるとどうなる?
弁を開く力がなくなるので弁は閉じ、蒸発器に冷媒が流れなくなります。吸込み圧力が下がり、冷えなくなります。
油分離器と液分離器はどう違う?
油分離器は圧縮機の吐出し管に付けて、吐出しガスの中の油を分けます。液分離器は吸込み管に付けて、蒸発器から戻る蒸気の中の液を分け、圧縮機への液戻りを防ぎます。
吸込み管を圧縮機に向かって下り勾配にするのはなぜ?
冷媒と一緒に回っている冷凍機油を圧縮機へ戻すためです。逆勾配だと油が途中にたまり、圧縮機の油が不足します。
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は高圧ガス保安協会の公式情報で確認してください。