第三種冷凍機械責任者の計算と公式
2025年度の第三種では、数値を計算して答える問題は出ていません(当サイトの確認)。式が問われるのは、何に比例するか、どの値で割るかという形です。成績係数は冷凍能力÷軸動力、熱通過量は熱通過率×伝熱面積×温度差、法定冷凍能力はピストン押しのけ量÷冷媒ごとの定数で求めます。一度手で計算しておくと、記述の正誤を判断しやすくなります。
冷凍トンとkWの換算保安管理技術
1日本冷凍トン(JRt)=3.86kW=3,320kcal/h / 1米国冷凍トン(USRt)=3.52kW
冷凍トンは、0℃の水1トンを24時間で0℃の氷にするために取り去る熱量です。水が凍るときの潜熱79.68kcal/kgから、1,000kg×79.68÷24h=3,320kcal/h、kWに直すと3.86kWになります。米国冷凍トンは2,000ポンドの水を基準にするので、3.52kWと小さくなります(日本冷凍空調学会 用語解説)。
例題
冷凍能力193kWの冷凍機がある。日本冷凍トンでいくらか。また、20日本冷凍トンと50米国冷凍トンはそれぞれ何kWか。
- 193 ÷ 3.86 = 50.0JRt
- 20 × 3.86 = 77.2kW
- 50 × 3.52 = 176kW
答え:50.0日本冷凍トン、77.2kW、176kW
よくある間違い:法令の「1日の冷凍能力(トン)」は、冷凍保安規則第5条の式で算定する法定の値です。冷凍機の実際の能力を3.86で割っても、法定の冷凍能力にはなりません。
ゲージ圧力と絶対圧力法令
絶対圧力=ゲージ圧力+大気圧
圧力計が示すのは、大気圧を0としたゲージ圧力です。真空を0とした絶対圧力は、ゲージ圧力に大気圧を足した値になります(原子力百科事典ATOMICA)。高圧ガス保安法は第2条で、圧力をゲージ圧力で表すと定めています。高圧ガスに当たるかどうかの1MPa・0.2MPaも、ゲージ圧力で比べます。
例題
圧力計の指示が1.2MPaの凝縮器がある。大気圧を0.1MPaとして絶対圧力を求める。あわせて、絶対圧力0.25MPaをゲージ圧力に直す。
- 絶対圧力 = 1.2 + 0.1 = 1.3MPa
- ゲージ圧力 = 0.25 − 0.1 = 0.15MPa
答え:1.3MPa(絶対圧力)、0.15MPa(ゲージ圧力)
よくある間違い:絶対圧力0.25MPaは0.2MPaを超えていますが、ゲージ圧力では0.15MPaです。法令の0.2MPaと比べるときは、ゲージ圧力の0.15MPaを使います。
法定冷凍能力 R=V÷C法令
R=V÷C (R:1日の冷凍能力[トン]、V:標準回転速度での1時間のピストン押しのけ量[m³]、C:冷媒ごとの定数)
遠心式・吸収式・自然循環式などを除く冷凍設備の冷凍能力は、この式で算定します(冷凍保安規則第5条第4号)。Cは冷媒ガスの種類と、圧縮機の気筒1個の体積が5,000cm³以下か超えるかで決まります。アンモニアは8.4、フルオロカーボン134aは14.4です(いずれも5,000cm³以下)。同じ圧縮機でも、Cが大きい冷媒ほど冷凍能力は小さく算定されます。
例題
標準回転速度での1時間のピストン押しのけ量が150m³、気筒1個の体積が5,000cm³以下の圧縮機がある。冷媒がアンモニア(C=8.4)の場合と、フルオロカーボン134a(C=14.4)の場合の1日の冷凍能力を求める。
- アンモニア:R = 150 ÷ 8.4 ≒ 17.9トン
- フルオロカーボン134a:R = 150 ÷ 14.4 ≒ 10.4トン
- アンモニアの17.9トンは5トン以上50トン未満なので、第二種製造者(製造開始の20日前までに届出)に当たる
答え:アンモニア約17.9トン、フルオロカーボン134a約10.4トン
よくある間違い:Vは1時間あたりのピストン押しのけ量(m³)です。1分あたりの値や気筒1個の体積をそのまま入れると、桁が合いません。多段圧縮方式ではV=VH+0.08VLとし、最終段の気筒を基準にします。
遠心式・吸収式の冷凍能力法令
遠心式:R=原動機の定格出力[kW]÷1.2 / 吸収式:R=発生器を加熱する1時間の入熱量[kJ]÷27,800
遠心式圧縮機を使う設備は、原動機の定格出力1.2kWを1日の冷凍能力1トンとします。吸収式冷凍設備は、発生器を加熱する1時間の入熱量27,800kJを1トンとします(冷凍保安規則第5条第1号・第2号)。どちらもピストン押しのけ量を使わない点が、R=V÷Cとの違いです。
例題
原動機の定格出力が330kWの遠心式冷凍設備と、発生器を加熱する入熱量が1時間あたり4,170,000kJの吸収式冷凍設備がある。それぞれの1日の冷凍能力を求める。
- 遠心式:R = 330 ÷ 1.2 = 275トン
- 吸収式:R = 4,170,000 ÷ 27,800 = 150トン
- どちらも100トン以上300トン未満なので、冷凍保安責任者には第一種か第二種の免状が要る
答え:遠心式275トン、吸収式150トン
よくある間違い:1.2kWは原動機の出力(入力側)で、冷凍機が取り去る熱量ではありません。27,800kJも、発生器に加える熱量です。
冷凍効果と冷媒循環量保安管理技術
冷凍能力 Φo=qmr×(h1-h4) (qmr:冷媒循環量[kg/s]、h1:蒸発器出口の比エンタルピー[kJ/kg]、h4:蒸発器入口の比エンタルピー[kJ/kg]、h1-h4:冷凍効果)
冷媒1kgが蒸発器で奪う熱量を冷凍効果といい、蒸発器の出口と入口の比エンタルピーの差で表します。冷凍能力は、冷凍効果に1秒あたりの冷媒循環量を掛けた値です。膨張弁の前後で比エンタルピーは変わらないので、h4は凝縮器を出た液の比エンタルピーh3と同じ値になります(高圧ガス保安協会 第一種学識の解答例)。
例題
蒸発器出口の比エンタルピーが395kJ/kg、膨張弁直前の液の比エンタルピーが245kJ/kgの冷凍装置で、冷凍能力を30kWにしたい。冷凍効果と冷媒循環量を求める。
- h4 = h3 = 245kJ/kg(膨張弁の前後で比エンタルピーは同じ)
- 冷凍効果 = 395 − 245 = 150kJ/kg
- 冷媒循環量 = 30 ÷ 150 = 0.2kg/s
- 1時間あたり = 0.2 × 3,600 = 720kg/h
答え:冷凍効果150kJ/kg、冷媒循環量0.2kg/s(720kg/h)
よくある間違い:kWはkJ/sなので、kJ/kgで割ると答えはkg/sで出ます。1時間あたりに直すときは3,600を掛けます。
成績係数(冷凍とヒートポンプ)保安管理技術
冷凍の成績係数 COP=Φo÷P=(h1-h4)÷(h2-h1) / 凝縮負荷 Φk=Φo+P / ヒートポンプの成績係数=Φk÷P=冷凍のCOP+1
成績係数(COP)は、冷凍能力を圧縮機の軸動力Pで割った値で、大きいほど少ない動力で冷やせます(日本冷凍空調学会 用語解説)。理論冷凍サイクルでは、冷凍効果を圧縮仕事(h2-h1)で割っても同じ値です。凝縮器で捨てる熱(凝縮負荷)は冷凍能力と軸動力の和なので、この熱を暖房に使うヒートポンプの成績係数は、同じ条件の冷凍のCOPより1大きくなります。
例題
「冷凍効果と冷媒循環量」の例題の装置(冷媒循環量0.2kg/s、h1=395kJ/kg、h4=245kJ/kg)で、圧縮機出口の比エンタルピーh2が425kJ/kgだった。理論冷凍サイクルとして、軸動力・冷凍のCOP・凝縮負荷・ヒートポンプのCOPを求める。
- 圧縮仕事 = 425 − 395 = 30kJ/kg
- 軸動力 P = 0.2 × 30 = 6kW
- 冷凍のCOP = 30 ÷ 6 = 5.0(150 ÷ 30 でも 5.0)
- 凝縮負荷 Φk = 30 + 6 = 36kW
- ヒートポンプのCOP = 36 ÷ 6 = 6.0(5.0 + 1)
答え:軸動力6kW、冷凍のCOP 5.0、凝縮負荷36kW、ヒートポンプのCOP 6.0
よくある間違い:実際の軸動力は、理論の圧縮仕事を断熱効率と機械効率で割った分だけ大きくなります(高圧ガス保安協会 第一種学識の解答例)。そのため実際のCOPは、理論冷凍サイクルのCOPより小さくなります。
熱通過量保安管理技術
Φ=K×A×Δtm (K:熱通過率[kW/(m²·K)]、A:伝熱面積[m²]、Δtm:平均温度差[K]) 算術平均温度差 Δtm={(tk-tw1)+(tk-tw2)}÷2
壁を隔てた2つの流体の間で伝わる熱量は、熱通過率、伝熱面積、温度差の3つの積です。どれか1つが半分になれば、熱量も半分になります。水冷凝縮器なら、凝縮温度tkと冷却水の入口温度tw1・出口温度tw2の差を平均した値を温度差に使います(高圧ガス保安協会 第一種学識の解答例)。
例題
熱通過率0.8kW/(m²·K)、冷却管の伝熱面積20m²の水冷凝縮器がある。凝縮温度40℃、冷却水の入口温度30℃、出口温度34℃のとき、算術平均温度差と交換熱量を求める。
- Δtm = {(40 − 30) + (40 − 34)} ÷ 2 = (10 + 6) ÷ 2 = 8K
- Φ = 0.8 × 20 × 8 = 128kW
- 冷却管が汚れて熱通過率が0.4kW/(m²·K)に下がると、同じ温度差なら 0.4 × 20 × 8 = 64kW
答え:算術平均温度差8K、交換熱量128kW
よくある間違い:温度差の単位はK(ケルビン)ですが、差をとるだけなので℃の差と同じ数字になります。温度そのものに273を足す必要はありません。
円筒胴の必要な板厚保安管理技術
t=P×Di÷(2×σa×η-1.2×P)+α (t:板厚[mm]、P:設計圧力[MPa]、Di:胴の内径[mm]、σa:許容引張応力[N/mm²]、η:溶接継手の効率、α:腐れしろ[mm])
圧力容器の円筒胴に要る板厚を求める式です(高圧ガス保安協会 第一種学識の解答例)。分子に設計圧力と内径があるので、内径が大きいほど、圧力が高いほど厚くなります。分母に許容引張応力と溶接継手の効率があるので、強い材料や効率の高い継手なら薄くて済みます。第三種で押さえたいのは、式そのものより、この増減の関係です。
例題
設計圧力1.6MPa、内径500mm、許容引張応力100N/mm²、溶接継手の効率0.70、腐れしろ1mmの円筒胴がある。必要な板厚を求める。
- 分子:1.6 × 500 = 800
- 分母:2 × 100 × 0.70 − 1.2 × 1.6 = 140 − 1.92 = 138.08
- 800 ÷ 138.08 ≒ 5.79mm
- t = 5.79 + 1 = 6.79mm → 切り上げて7mm
答え:7mm(計算値6.79mm)
よくある間違い:内径を1,000mmにすると、t ≒ 11.59 + 1 = 12.59mm(切り上げて13mm)です。腐れしろ以外の部分は内径に比例しますが、腐れしろは内径によらず足すだけなので、板厚全体はちょうど2倍にはなりません。
気密試験と耐圧試験の圧力法令
気密試験:許容圧力以上 / 耐圧試験(液体):許容圧力×1.5以上 / 耐圧試験(気体):許容圧力×1.25以上
冷凍保安規則第7条第1項第6号の基準です。耐圧試験は配管以外の部分を、水などの安全な液体で許容圧力の1.5倍以上の圧力で行います。液体を使うのが難しいときだけ、空気や窒素などの気体を使って許容圧力の1.25倍以上で行います。気密試験は冷媒設備全体を許容圧力以上で行います。
例題
許容圧力2.0MPaの冷媒設備がある。気密試験、液体による耐圧試験、気体による耐圧試験の最低の圧力を求める。
- 気密試験:2.0MPa以上
- 耐圧試験(液体):2.0 × 1.5 = 3.0MPa以上
- 耐圧試験(気体):2.0 × 1.25 = 2.5MPa以上
答え:気密試験2.0MPa以上、耐圧試験は液体3.0MPa以上・気体2.5MPa以上
よくある間違い:液体が1.5倍、気体が1.25倍です。倍率を入れ替えた記述や、耐圧試験に配管を含めた記述は誤りです。
よくある質問
第三種冷凍機械責任者で計算問題は出ますか?
2025年度の保安管理技術15問に、数値を計算して答える問題はありませんでした(当サイトの確認)。成績係数や熱通過率は、何に比例するか、どの値を使って求めるかを記述の正誤で問う形です。過去の年度に計算問題があったかは確認できていません。
冷凍のCOPとヒートポンプのCOPの関係は?
同じ運転条件なら、ヒートポンプのCOPは冷凍のCOPより1大きくなります。凝縮器で放出する熱量は冷凍能力と軸動力の和なので、これを軸動力で割ると、冷凍のCOPに1を足した値になります。
法定冷凍能力のCはどこで調べますか?
冷凍保安規則第5条第4号の表に、冷媒ガスごとの値があります。気筒1個の体積が5,000cm³以下なら、アンモニアは8.4、フルオロカーボン22は8.5、フルオロカーボン134aは14.4です。表にないガスは、同じ表の算式で求めます。
例題の数値はすべて当サイトが作成したもので、過去の試験問題の本文・数値は使用していません。