第三種冷凍機械責任者/法令
製造の区分と冷凍能力(第一種製造者・第二種製造者・算定基準)
1日の冷凍能力と冷媒ガスの種類で決まる第一種製造者(許可)・第二種製造者(届出)・その他の製造の境目と、冷凍保安規則第5条の冷凍能力の算定基準を、計算例つきでまとめます。
第一種製造者と第二種製造者の境目はどこ?
境目は冷媒ガスの種類で3通りに分かれます。許可が要る第一種製造者は、第一種ガスとアンモニア・フルオロカーボン(難燃性以外)が50トン以上、それ以外のガスが20トン以上です(法第5条第1項第2号、施行令第4条)。
届出が要る第二種製造者の下限は、第一種ガスが20トン、アンモニア・フルオロカーボン(難燃性以外)が5トン、それ以外のガスが3トンです(法第5条第2項第2号、施行令第4条)。法の条文そのものは「20トン」「3トン」で、政令で定めるガスだけ値が引き上げられています。
下限より小さく、適用除外にも当たらない範囲は「その他の製造」です。許可も届出も要りませんが、法第13条により冷凍保安規則第15条の技術上の基準に従います。第一種ガスなら5トン以上20トン未満、アンモニアなら3トン以上5トン未満がこれに当たります。
| 第一種ガス(二酸化炭素・難燃性のフルオロカーボン・窒素など) | 50トン以上=第一種製造者/20トン以上50トン未満=第二種製造者/5トン以上20トン未満=その他/5トン未満=適用除外 |
|---|---|
| アンモニア・フルオロカーボン(難燃性以外) | 50トン以上=第一種製造者/5トン以上50トン未満=第二種製造者/3トン以上5トン未満=その他/3トン未満=適用除外 |
| それ以外のガス(プロパンなど) | 20トン以上=第一種製造者/3トン以上20トン未満=第二種製造者/3トン未満=適用除外 |
許可と届出では、手続がどう違う?
第一種製造者は、事業所ごとに都道府県知事の許可を受けてから製造します。許可を受けた施設は、工事の完成後に完成検査を受け、合格してから使います。
第二種製造者は、事業所ごとに製造開始の日の20日前までに届け出ます。書面には、製造をする高圧ガスの種類、製造のための施設の位置・構造・設備、製造の方法を書きます。完成検査や保安検査の義務はありませんが、技術上の基準に適合するよう施設を維持し、その基準に従って製造します(法第12条)。
「冷凍」には冷凍設備を使用してする暖房が含まれます(法第5条第1項第2号)。ビル用のヒートポンプ式空調機も、冷凍能力に応じて同じ区分に当てはめます。
許可も届出も要らない「その他の製造」では何を守る?
冷凍保安規則第15条の技術上の基準を守ります。設置や変更の工事を完成したら、酸素以外のガスを使う試運転か、許容圧力以上の圧力で行う気密試験を済ませてから製造を始めます(同条第1号、第14条第1号)。
特定不活性ガスを冷媒とする設備では、冷媒ガスが漏えいしたときに燃焼を防ぐ適切な措置も求められます(同条第2号)。冷凍保安責任者の選任や定期自主検査の義務はありませんが、法の適用除外ではありません。アンモニアの4トンの設備は、この「その他の製造」の代表例です。
冷凍能力はどうやって算定する?
1日の冷凍能力は、冷凍保安規則第5条の算定基準で求めます。設備の方式ごとに4通りの方法があります。
遠心式圧縮機は、原動機の定格出力1.2kWを1トンとします。吸収式冷凍設備は、発生器を加熱する1時間の入熱量27,800kJを1トンとします。自然環流式・自然循環式はR=QAで、Qは冷媒ガスごとの係数、Aは蒸発器の冷媒ガスに接する側の表面積(m²)です。
それ以外の圧縮式はR=V/Cです。Vは標準回転速度での1時間のピストン押しのけ量(m³)、Cは冷媒ガスごとの数値で、気筒1個の体積が5,000cm³以下か超えるかで値が変わります。アンモニアは8.4と7.9、二酸化炭素は1.8と1.7、R22は8.5と7.9です。多段圧縮方式・多元冷凍方式のVはVH+0.08VLで求めます。
表にない冷媒ガスのCは、−15℃の乾き飽和蒸気の比体積とエンタルピー、凝縮完了温度30℃・過冷却5℃の液のエンタルピーを使う式で求めます。第三種の試験では、式の中身より、どの方式にどの基準を使うかが問われます。
法定の冷凍能力(トン)は、熱量の単位の冷凍トンとは別物です。1日本冷凍トンは0℃の水1トンを24時間で氷にする熱量で約3.86kWですが、法令の区分に使うのは第5条で算定した値です。
例題:往復圧縮機の冷凍能力から製造の区分を判定する
アンモニア冷媒、気筒1個の体積は5,000cm³以下、標準回転速度での1時間のピストン押しのけ量は420m³。別の二酸化炭素冷媒の設備(同じく5,000cm³以下)は36m³。
- ① アンモニアのCを選ぶ C=8.4(5,000cm³以下) 冷凍保安規則第5条第4号の表
- ② アンモニア設備の冷凍能力 R=420÷8.4=50トン アンモニアは50トン以上で第一種製造者
- ③ 二酸化炭素設備の冷凍能力 R=36÷1.8=20トン 第一種ガスは20トン以上50トン未満で第二種製造者
答え:アンモニア設備は50トンで都道府県知事の許可が必要。二酸化炭素設備は20トンで第二種製造者として届出が必要。
よくある間違い:境目の値ちょうどは「以上」に入ります。50トンは第一種製造者、20トンは第二種製造者です。気筒の体積が5,000cm³を超える圧縮機では、小さい方のCを使います。
認定指定設備は製造の区分にどう関わる?
指定設備の認定を受けた設備は、第一種製造者の許可の対象から除かれます(法第5条第1項第2号)。冷凍の指定設備は、不活性ガスを冷媒とするユニット形の設備で大臣が定めるものです(施行令第15条第2号)。
認定指定設備は工場で組み立てと試験を済ませて出荷されるので、現地での完成検査の一部や保安検査が省かれます。第二種製造者の届出の区分からは除かれていないので、認定指定設備だけで届出の下限を超えれば第二種製造者です。認定指定設備の技術上の基準は技術上の基準の解説で扱います。
職場ではどう使う?
冷凍機を入れ替えるときは、新しい機種の法定冷凍能力がどの区分に入るかを先に確かめます。二酸化炭素冷媒で18トンの冷凍機を36トンの機種に替えると、その他の製造から第二種製造者に変わり、製造開始の20日前までの届出が必要になります。
区分の判断には銘板の冷凍能力(kW)ではなく、冷凍保安規則第5条で算定した法定の冷凍能力を使います。メーカーの仕様書に法定冷凍能力が書かれていることが多いので、届出書類を作るときにはその値を確認します。
試験ではどう問われる?
区分の問題は、冷媒ガスとトン数を組み合わせた記述が中心です。第一種ガスとアンモニアの届出の下限(20トンと5トン)を入れ替える形、「その他の製造」を届出が要ると書く形が典型です。
算定基準では、遠心式の1.2kW、吸収式の27,800kJ、多段圧縮の0.08を別の数字に替えた記述と、遠心式にR=V/Cを使うといった方式の取り違えが出ます。許可をするのが都道府県知事か経済産業大臣かも問われます。
よくある質問
冷凍機は何トンから許可が必要?
アンモニア・二酸化炭素・フルオロカーボンなど多くの冷媒で、1日の冷凍能力50トン以上から都道府県知事の許可が必要です。プロパンなどそれ以外のガスは20トン以上です(施行令第4条)。
第二種製造者の届出はいつまでに出す?
製造開始の日の20日前までに、事業所ごとに都道府県知事へ届け出ます(法第5条第2項)。
遠心式冷凍機の冷凍能力はどう計算する?
圧縮機の原動機の定格出力1.2kWを1日の冷凍能力1トンとして換算します(冷凍保安規則第5条第1号)。定格出力が60kWなら50トンです。
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