第三種冷凍機械責任者/保安管理技術
安全装置・材料の強さ・耐圧試験と気密試験
安全弁・破裂板・溶栓・高圧遮断装置の違いと液封、応力と薄肉円筒胴の強さ、耐圧試験・気密試験・真空試験の順序と圧力を、例題つきでまとめます。
安全弁・破裂板・溶栓は何が違う?
3つとも、容器や配管の中のガスを外へ逃がして、破裂を防ぐ装置です。違いは、何を感じて作動するかと、作動したあとに閉じるかどうかにあります。
安全弁は、ばねで弁を押さえておき、中の圧力が設定値を超えると開いてガスを逃がし、圧力が下がると閉じます。何度でも作動できるので、圧縮機や圧力容器の安全装置の中心です。安全弁の元に付けた止め弁は、修理や清掃のとき以外は常に全開にしておきます。
破裂板は、薄い金属板が決められた圧力で破れてガスを逃がします。構造が簡単で応答が速い代わりに、一度破れると元に戻らず、圧力が下がってもガスの放出は止まりません。溶栓は、決められた温度で溶ける可溶合金を詰めた栓で、火災などで温度が上がったときに溶けてガスを逃がします。溶栓は温度で作動するので、圧力だけが上がっても作動せず、圧縮機の吐出しガスのように高温になる場所には付けません。溶栓も作動すると冷媒がほぼ全部出てしまいます。
安全弁や破裂板には、放出したガスを安全な場所へ導く放出管を付けます(不活性ガスの冷媒設備などは除く)。アンモニアのように毒性と可燃性をもつ冷媒では、放出管の開口部を人のいる所に向けないことが特に大切です。
| 安全弁 | 圧力で作動。圧力が下がると閉じ、繰り返し使える |
|---|---|
| 破裂板 | 圧力で作動。破れたら閉じず、放出が続く |
| 溶栓 | 温度で作動。溶けたら閉じず、放出が続く |
| 高圧遮断装置 | 圧力を検知して圧縮機を止める。ガスは放出しない |
高圧遮断装置は安全弁とどう使い分ける?
高圧遮断装置は、吐出し圧力が異常に上がったときに圧縮機を止めて、圧力がそれ以上上がらないようにする装置です。ガスを外に出さずに止められるので、安全弁より低い圧力で作動するように設定し、安全弁が吹く前に働かせます。
作動したあとは、原因を確かめてから人の手で元に戻す手動復帰式が原則です。圧力が下がると勝手に再起動する方式だと、原因が残ったまま異常な高圧を繰り返すおそれがあります。冷凍保安規則関係例示基準が自動復帰式を認めるのは、可燃性ガス・毒性ガス以外の冷媒で、一つの冷媒系統の冷凍能力が10トン未満の設備のうち、自動で発停しても危険の生じない構造のものに限られます。
安全装置の盲点になりやすいのが液封です。冷媒液で満たされた配管や容器の出入口の弁が両方とも閉じた状態で温度が上がると、液の膨張で圧力が急に上がり、配管や弁を壊すことがあります。液封が起こりうる部分には、安全弁や破裂板などの圧力逃がし装置を付けます。
材料の強さはどんな数字で表す?
材料の強さは、単位面積あたりにかかる力である応力で表します。応力は荷重を断面積で割った値で、単位はN/mm²(MPaと同じ大きさ)です。
材料を引っ張ると、弾性限度までは応力とひずみ(伸びの割合)が比例し、力を除けば元に戻ります。さらに引っ張ると伸びが残るようになり、最後は切れます。切れるまでに耐えた最大の応力が引張強さです。設計では、引張強さに余裕を持たせた小さい値を許容引張応力とし、それを超えないように板厚などを決めます。
炭素鋼は温度が低くなると粘り強さを失い、衝撃で割れやすくなります。これを低温ぜい性といいます。低温で使う部分には、銅やアルミニウム、オーステナイト系ステンレス鋼のように低温ぜい性を起こしにくい材料や、低温用の鋼材を選びます。
圧力容器の胴はどの向きの応力に弱い?
内圧を受ける薄肉円筒胴には、胴を縦に割ろうとする円周方向の応力と、胴を輪切りにしようとする軸方向の応力がかかります。円周方向の応力は軸方向の応力の2倍になります。
円周方向の応力は、内圧×内径÷(2×板厚)で表され、内圧と内径に比例し、板厚に反比例します。長手方向の溶接継手にかかるのは円周方向の応力なので、周方向の継手より厳しい条件になります。同じ圧力なら、胴の径が大きいほど厚い板が必要です。実際の板厚の計算では、ここに溶接継手の効率や腐れしろが加わります。
胴の両端をふさぐ鏡板は、形によって強さが違います。同じ内圧・内径なら半球形がもっとも応力が小さく、皿形、平板の順に大きくなります。皿形鏡板では、すみの丸みの半径が小さいほど、その部分に応力が集中します。
例題:薄肉円筒胴の応力を求める
内圧1.2MPa、内径600mm、板厚9mmの薄肉円筒胴(数値は説明用に作ったもの)。
- ① 円周方向の応力 1.2×600÷(2×9)=40N/mm²
- ② 軸方向の応力 1.2×600÷(4×9)=20N/mm² 円周方向のちょうど半分
- ③ 板厚を12mmにした場合 1.2×600÷(2×12)=30N/mm²
答え:円周方向40N/mm²、軸方向20N/mm²(板厚12mmなら円周方向30N/mm²)
よくある間違い:MPa×mm÷mmはMPa(N/mm²)になる。内径と板厚の単位をそろえておけば換算は要らない。
耐圧試験・気密試験・真空試験はどの順で何を確かめる?
冷凍設備の試験は、強さを確かめる耐圧試験、漏れを確かめる気密試験、微量の漏れと水分を確かめる真空試験の順に行います。前の試験に合格したものについて、次の試験を行います。
耐圧試験は、配管以外の部分について、原則として水などの液体を使い、許容圧力の1.5倍以上の圧力で行います。液体を使うのが難しいときは、空気や窒素などの気体を使い、許容圧力の1.25倍以上の圧力で行います。液体を使うのは、圧縮されにくい液体なら万一壊れても放出されるエネルギーが小さく、気体より安全だからです。
気密試験は、耐圧試験に合格した機器を組み立てたあと、許容圧力以上の圧力で、空気や窒素などの気体を使って行います。酸素は油と触れて燃焼や爆発を起こすおそれがあるので使いません。漏れは、発泡液を塗って泡の出る所を探して見つけます。
真空試験は、装置の中を真空にして放置し、圧力の上がり方で微量の漏れを確かめます。漏れがあることは分かっても、漏れの場所は特定できません。圧力を下げると水が低い温度で蒸発するので、装置の中の水分を除く真空乾燥の意味もあります。
例題:許容圧力から試験の圧力を求める
許容圧力が1.6MPaの受液器(数値は説明用に作ったもの)。
- ① 液体で行う耐圧試験 1.6×1.5=2.4MPa以上
- ② 気体で行う耐圧試験 1.6×1.25=2.0MPa以上
- ③ 気密試験 許容圧力の1.6MPa以上
答え:耐圧試験は液体なら2.4MPa以上(気体なら2.0MPa以上)、気密試験は1.6MPa以上
よくある間違い:気密試験の圧力に1.5倍を掛けてしまう取り違えが多い。1.5倍と1.25倍は耐圧試験の数字。
職場ではどう使う?
冷凍機の据付け工事に立ち会うときは、耐圧試験の成績書、気密試験の圧力と保持時間の記録、真空試験の到達圧力の記録を順に確かめます。気密試験に使う窒素ボンベには圧力調整器を付け、試験圧力を超えないようにしてから加圧します。
圧縮機は振動するので、十分な質量の基礎に据え付け、配管との接続部には防振の工夫をします。運転を始めてからは、安全弁の元の止め弁が開いているか、放出管の出口がふさがれていないかを定期的に見て回ります。
試験ではどう問われる?
安全装置の問題は、作動のしかたの入れ替えが中心です。溶栓が圧力で作動するとする、破裂板が繰り返し使えるとする、高圧遮断装置を安全弁より高い圧力に設定するとする、といった型があります。
材料では円周方向と軸方向の応力の大小、試験では耐圧試験と気密試験の圧力の倍率(1.5倍・1.25倍と、許容圧力以上)、試験の順序、気密試験に使えるガスが入れ替えられやすい数字と用語です。試験圧力の数字は法令科目の技術上の基準と同じなので、両科目で一度に覚えられます。
よくある質問
耐圧試験と気密試験の違いは?
耐圧試験は機器が圧力に耐える強さを確かめる試験で、原則として液体を使い許容圧力の1.5倍以上で行います。気密試験は漏れがないかを確かめる試験で、気体を使い許容圧力以上で行います。
溶栓と安全弁はどう違う?
安全弁は圧力で作動し、圧力が下がれば閉じます。溶栓は温度で作動する可溶合金の栓で、一度溶けると冷媒の放出が止まりません。
薄肉円筒胴で円周方向の応力が軸方向の2倍になるのはなぜ?
円周方向の応力は胴を縦に割る断面で、軸方向の応力は胴を輪切りにする断面で内圧を支えます。受け持つ力と断面積の比を計算すると、円周方向が軸方向のちょうど2倍になります。
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
関連する解説
解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は高圧ガス保安協会の公式情報で確認してください。