第三種冷凍機械責任者/保安管理技術

冷媒・ブライン・冷凍機油の性質

冷媒の法令上の区分、アンモニアとフルオロカーボンの性質の違い、共沸・非共沸の混合冷媒、GWPとODP、ブライン、冷凍機油に求められる性質をまとめます。

冷媒は法令上どう分類される?

冷凍保安規則では、冷媒ガスを可燃性ガス・毒性ガス・不活性ガスなどに分けていて、区分によって設備に求められる基準が変わります。アンモニアは可燃性ガスと毒性ガスの両方に当たります。

不活性ガスには、ヘリウムや窒素などのガス、二酸化炭素、可燃性ガスでないフルオロカーボンが入ります。不活性ガスのうち、温度60℃・圧力0Paで着火したときに火炎伝ぱを起こすフルオロカーボンが特定不活性ガスで、2016年の改正でR32・R1234yf・R1234zeが位置づけられました。これらは微燃性(A2L)の冷媒と呼ばれ、漏えいしたガスが滞留しない構造や漏えい検知警報設備が求められます。

可燃性ガスは、爆発限界の下限が10%以下か、上限と下限の差が20%以上のものです。プロパンやイソブタンのような炭化水素も冷媒に使われることがあり、これらは可燃性ガスの扱いになります。

不活性ガス二酸化炭素・可燃性でないフルオロカーボンなど特定不活性ガス不活性ガスのうち微燃性(A2L)のもの可燃性ガス・毒性ガス二酸化炭素GWP 1R134aGWP 1,430R410AGWP 2,090R404AGWP 3,920R32GWP 675R1234yfR1234ze滞留しない構造と漏えい検知警報設備が必要アンモニア可燃性ガスで毒性ガスでもあるGWPは小さいプロパン・イソブタン可燃性ガス(炭化水素)棒の長さ=GWP(対数目盛。目盛1つで10倍、左端が1・右端が10,000)参考:R22(HCFC-22)GWP 1,810・ODP 0.055の特定フロン/R12(CFC-12)GWP 10,900・ODP 1.0GWPの値は環境省の資料による(二酸化炭素を1とする)
冷媒の法令上の区分と地球温暖化係数(GWP)。R32は特定不活性ガス
可燃性ガスアンモニア、プロパン、イソブタンなど
毒性ガスアンモニア、クロルメチルなど
不活性ガス二酸化炭素、可燃性ガスでないフルオロカーボン、ヘリウム、窒素など
特定不活性ガス不活性ガスのうち微燃性のフルオロカーボン。R32、R1234yf、R1234ze

アンモニアとフルオロカーボンは何が違う?

アンモニアとフルオロカーボンでは、材料の選び方や水分・油の扱いが逆になる点が多くあります。違いを対にして覚えると取り違えにくくなります。

アンモニアは銅や銅合金を腐食させるので、配管や機器には鋼を使います。水によく溶けるため、少量の水分なら膨張弁で凍ることはほとんどありません。鉱油の冷凍機油とはほとんど溶け合わず、油は冷媒と分かれてたまりやすいので、油だめから抜き取る仕組みを設けます。ガスは空気より軽く、強い刺激臭があるので漏れに気づきやすい冷媒です。

フルオロカーボンは銅管が使え、臭いはほとんどありません。水をほとんど溶かさないので、装置に水分が入ると膨張弁の絞り部で凍って流れを止めたり、酸を生じて金属を腐食させたりします。そのため液管にドライヤを付けます。漏れた蒸気は空気より重く、地下の機械室などの低い所にたまって酸欠を起こすおそれがあります。

共沸混合冷媒と非共沸混合冷媒はどう違う?

2種類以上の冷媒を混ぜたものが混合冷媒で、蒸発や凝縮のときの温度の動き方で共沸と非共沸に分かれます。

共沸混合冷媒は、一定の圧力で蒸発・凝縮するとき、単一成分の冷媒と同じように温度が一定で、液と蒸気の組成も変わりません。非共沸混合冷媒は蒸発しやすい成分から先に蒸発するので、一定の圧力でも蒸発の始まりと終わりで温度が変わります。この温度の差を温度勾配(温度グライド)と呼びます。

非共沸混合冷媒を容器から蒸気で取り出すと、蒸発しやすい成分が多く出て、容器にも装置にも元と違う組成の冷媒が残ります。非共沸混合冷媒は液の状態で充塡するのが基本です。ちなみにR410Aは、HFCのR32とR125を混ぜた冷媒です。

単一冷媒・共沸混合冷媒温度蒸発開始蒸発完了蒸発の進み具合(圧力は一定)温度は一定非共沸混合冷媒温度蒸発開始蒸発完了蒸発の進み具合(圧力は一定)温度勾配(温度グライド)非共沸混合冷媒を容器から取り出すとき蒸気○ 液で充塡容器の中と同じ組成のまま装置に入る蒸気× 蒸気で充塡蒸発しやすい成分が先に出て組成が変わる
非共沸混合冷媒は蒸発中に温度が変わるので、液の状態で充塡する

GWPとODPの数字は何を表す?

地球温暖化係数(GWP)は、同じ質量の二酸化炭素と比べて何倍温暖化に効くかを表す数字で、二酸化炭素が1です。オゾン層破壊係数(ODP)は、オゾン層を壊す強さを表します。

環境省の資料では、R32のGWPは675、R410Aは2,090、R134aは1,430、R404Aは3,920です。R22(HCFC-22)はGWPが1,810でODPが0.055の特定フロン、R12(CFC-12)はGWPが10,900でODPが1.0です。HFCはオゾン層を壊さない代わりにGWPの大きいものが多く、これがGWPの小さいR32や二酸化炭素、アンモニアが選ばれる理由になっています。

例題:漏れた冷媒の量を二酸化炭素の量に換算する

R410Aを使う業務用エアコンから冷媒が3.0kg漏れたとする。R410AのGWPは2,090とする。

  1. ① 質量×GWP 3.0×2,090=6,270kg
  2. ② トンに直す 6,270kg≒6.3t

答え:二酸化炭素に換算して6,270kg(約6.3トン)

よくある間違い:同じ3.0kgでもR32(GWP675)なら3.0×675=2,025kg。GWPの違いがそのまま換算量の差になる。

ブラインは冷媒と何が違う?

ブラインは、冷凍装置で冷やしてから別の場所へ送り、状態を変えずに顕熱で熱を運ぶ液体です。冷媒のように蒸発と凝縮を繰り返さないので、二次冷媒とも呼ばれます。

塩化カルシウムや塩化ナトリウムの水溶液は無機ブライン、エチレングリコールやプロピレングリコールの水溶液は有機ブラインです。無機ブラインは金属を腐食させやすく、空気に触れて酸素を取り込むと腐食が進むので、なるべく空気に触れないように扱います。濃度を上げると凍結温度は下がりますが、ある濃度(共晶点)を超えると逆に上がるので、濃ければよいわけではありません。

冷凍機油にはどんな性質が求められる?

冷凍機油は圧縮機の潤滑と密封、冷却を受け持ち、一部は冷媒と一緒に装置の中を回ります。そのため、低温でも固まりにくいこと、高温で劣化しにくいこと、水分や不純物が少ないことが求められます。

粘度は低すぎると油膜が切れて潤滑が悪くなり、高すぎると動力が増えます。HFC冷媒は鉱油と溶け合いにくいので、HFCの装置ではエステル油などの合成油が使われることが多くあります。冷凍機油は吸湿しやすいので、缶を開けたまま置かず、使う分だけ出すようにします。

職場ではどう使う?

ビルの空調機を更新するとき、古いR22の機器からR410AやR32の機器に替えると、冷媒だけでなく冷凍機油の種類も変わります。旧機の配管を再利用する工事では、残った鉱油や水分が新しい冷媒と合わないことがあり、洗浄や真空乾燥に時間をかけることになります。

アンモニアの冷凍工場では刺激臭で漏れに気づけますが、濃度が上がると近づけなくなります。フルオロカーボンの機械室では臭いで気づけないので、床に近い位置の漏えい検知器と換気の状態を、点検表で毎回確かめます。

試験ではどう問われる?

冷媒の問題は、アンモニアとフルオロカーボンの性質を入れ替えた誤りが中心です。銅が使えるかどうか、水に溶けるかどうか、鉱油と溶け合うかどうか、漏れたガスが空気より重いか軽いかが、そのまま逆にされます。

混合冷媒では「非共沸は蒸気で充塡する」「共沸でも蒸発中に温度が変わる」、ブラインでは「濃いほど必ず凍結温度が下がる」「無機ブラインは腐食しない」といった型の誤りが作られやすくなっています。可燃性・毒性・不活性・特定不活性の区分は、法令科目と同じ知識で解けます。

よくある質問

アンモニアは法令上どの区分のガス?

冷凍保安規則では、アンモニアは可燃性ガスであり、毒性ガスでもあります。そのため、不活性ガスの設備より多くの技術上の基準がかかります。

R32は可燃性の冷媒?

R32は冷凍保安規則の特定不活性ガスに当たり、微燃性(A2L)の冷媒と呼ばれます。法令上は不活性ガスの一部ですが、漏えいしたガスが滞留しない構造や漏えい検知警報設備が求められます。

非共沸混合冷媒を液で充塡するのはなぜ?

蒸気で取り出すと、蒸発しやすい成分が先に出て、装置に入る冷媒の組成が元と変わってしまうからです。液で充塡すれば、容器の中と同じ組成のまま装置に入れられます。

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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は高圧ガス保安協会の公式情報で確認してください。